ひと さと
ムラ
やま


草屋根のこと 2

2004.6.15



こんな話を聞きました。

「スギ植えるよりカヤ生産のほうが金になる」

この言葉は里山の深刻な現状を伝えています。

スギは植林してから一人前の大木として育つまで
50〜60年の歳月を待つことになります。

この間、下草刈り、枝打ち、つる切り、間伐など
山の手入れはとても手間がかかります。

10〜15年で一度目の間伐、30〜40年で2度目の間伐、
主伐期を迎えるまでには数十年近く、山の面倒を見ます。

一方、カヤは、この辺りではススキが用いられます。
ススキは毎年、穂が垂れ下がる頃になると刈り取られ、
茅場に集められ蓄えられます。

間伐ですら10数年に一度、主伐になると収入を得るのは
植林後実に50年以上も待たねばなりません。

林業に対し、カヤ売りは農作物と同じように
毎期の収入が見込めます。

このことだけでも、木を育てるよりカヤを売ったほうが
安定収入が得られるということ。

さらに。
木はかけた労力に比べると
一本の丸太価格が安すぎて
とても採算が合わない・・・

そうして山を下りる林業家がしだいに増え
村の過疎化に拍車がかかる・・・
山に人手が入らなくなり山はしだいに荒れ、
地場産業である林業の退場とともに村に活力がなくなる。

日本の山村はざっとこんな調子で疲弊していきます。

では、スギより金になるカヤ生産は向上したかというと、
こちらも衰退の一途をたどっています。

これは明らかに茅屋根の家が減ったことによるもの
(というより消滅したことによるもの)です。


建築家
CHUHEI
SAKAI
@坂井忠平
里山の草屋根より
田舎暮らしはじめました 草屋根のこと 1 草屋根のこと 2
草屋根のこと 3 田舎暮らし・掃除をすること 村の生活(夏)
草屋根のこと (夏) 水のこと 土のこと 1
土のこと 2 土のこと 3 村の生活(秋)
里山を歩く 1 里山を歩く 2 里山を歩く 3
野良仕事 民家の学校
里山探検隊 木のこと 民家の学校 2
民家の学校 3 民家の学校「農業体験」 民家の学校「林業体験」
民家の学校「川あそび」 そば畑 霜華
土志工房
HOME CLOSE