日本一のおんせん県
おおいた県

 私が初めて別府温泉の宿に泊まったのは、2013(平成25)年の4月のこと。
 北九州在住の画家やデザイナーが参加する 「絵描き同好会」が主催する毎年恒例の「春のスケッチ旅行」 に合流したことがきっかけでした。

 メンバーの皆さんは、
・福岡在住の現役プロダクトデザイナー
・鍋島段通(なべしまだんつう=手織り敷物)デザイナー
・画家
・テキスタイルショップのオーナー
・高校の元美術教師
・久留米在住の洋画家
・佐賀県伊万里市在住の陶芸家
・佐賀県唐津市在住の印刷会社経営者
・・・
 そしてスケッチのロケ地は、杵築と由布院。旅程は1泊2日で、 宿泊地が別府温泉だったというわけです。
 東京在住の私がスケッチ旅行に参加できたのは、 福岡のプロダクトデザイナーである税田さんからお誘い頂いたため。

 税田さんと私は同じ大学の卒業生であり、福岡県在住の大学同窓生の会の「世話人」役を務めておられ、 2009年頃からお互いの交流を深め、 そのご縁で
「よかったら参加して下さい。ただし旅費は自己負担ですけれど」
とのお誘いに喜んで集合地の博多へ飛んでゆきました。
 そして博多からマイクロバスに乗っていよいよ旅だつところ、マイクロバスの運転手は伊万里在住の陶芸家、 さらに続々とバスに乗り込んできた参加者全員が同じ大学の卒業生、そう、私の先輩各位であることを知り、仰天したものです。
 ちなみに私は旅行に妻を同行させましたが、妻も私と同じ大学の卒業生。男性8、女性2、総勢10名による「思い出のスケッチ旅行」となりました。

家庭専用の源泉がある、
というすごい話

 話は飛びますが、2016(平成28)年4月14日、16日の2度にわたって熊本県益城町を震源地とする熊本地震が発生します。
 私は被災家屋の損害調査に従事するため、4月17日の夜に大分県大分市に飛び、翌18日から本格的に調査業務に着手しました。
 着任当初の大分県の被災状況は、益城町から北東方面に延びる「活断層」線上にある由布町、 そして別府市の被害が、大分市やその他県内の地域と比べると大きいものがありました。

 由布町も別府市も豊富な湯量を誇る全国有数の温泉地です。
 こうした温泉は各地から観光客が訪れる旅館やホテル、ペンションのみならず、地元住民が暮らす住宅、マンション、別荘にも供給されます。 すべての家庭に給湯されるわけではありませんが、私が調査に訪れたあるご家庭は、自宅専用の源泉(の権利)を有し、 お風呂はもちろん、源泉井戸の蒸気を利用して「温泉卵」を自給自足していました。

 調査を終えてお客様へ損害程度のご報告を済ませ失礼しようとするところへ、「温泉卵食べていけ」と勧められ、ひとつ殻をむいて頂いたところで帰ろうとすると、 「もっとあるから食べてけ」ともう二つ頂き、たいへんごちそうさまでした、とあいさつをして靴を履いて表に出ようとすると、 奥さんがビニール袋いっぱいに「あつあつ」の温泉卵(あとで数えたら10個入っていました)を詰めて、これ帰ったらどうぞおあがり下さい、 と差し出され感激しました。
 当然、私ひとりでは食べきれないので、災害対策室に戻って、同僚の調査員数名におすそわけしたところ大変喜ばれたいい思い出が残りました。

温泉
地熱というエネルギー

 いうまでもなく、温泉は火山や地震の源となる地殻変動の潜在エネルギーが関与する「自然エネルギー」の恩恵です。
 話をスケッチ旅行に戻しましょう。

 マイクロバスの運転手を務めた佐賀県在住の陶芸家は小笠原博さんといいます。
 そして、唐津在住の印刷会社経営者は松尾さんといいます。私より20歳ほど年長の大先輩。 松尾さんは税田さん同様、佐賀県在住「大学卒業生の会」の会長を永年務めておられます。

 松尾さんは、唐津の年中行事である「唐津くんち」が盛大に練り歩く当日、自宅の大宴会場に大勢の知人友人を招いて、 盛大な宴会を開くことで(地元でも)有名で、その宴会に北九州在住の大学卒業生を招くそうで、 「今年(2013年)のおくんち(『唐津くんち』のこと)自宅大宴会は11月3日だから、お前も来い」 と、たいへん光栄なお誘いをいただきました。

 というわけで、私と妻は、スケッチ旅行でご一緒した先輩諸兄と共に11月3日、 松尾会長のご自宅でごちそうになる、という幸運にめぐりあう事ができました。

 さらに私を感動させたのは、小笠原博さんから「せっかく唐津まで来たのだから、伊万里焼の陶房を見学して、 ついでに由布院と別府にドライブして温泉に入ろう」とウルトラ級のオファーを受けました。

 このページ冒頭の画像は、11月4日に小笠原さんがお勧めする明礬温泉に浸かったあとに昼食「とり天」食堂に行く直前に撮影した別府駅前広場の銅像。 ユニークな姿に思わずカメラにパシャッと収めました。
 このページ下段のスケッチは昼食前に小笠原さんがお勧めする明礬温泉の露天風呂に浸かっている図です。

温泉は地熱というエネルギー?

 「温泉は地熱というエネルギー」について原稿を書くつもりでしたが、このお題については、またの機会に述べるとして、 小笠原博という陶芸家は、地熱のような計り知れないパワーを兼ね備える希代の熱い情熱をもったマルチ芸術家である、というご紹介をさせていただきました。
 このあとも、小笠原博さんの名前はたびたび当サイトで登場すると思いますのでお見知りおきの程よろしくお願いします。

SDGs
Goal 3 : すべての人に健康と福祉を

 「持続的発展」が世界潮流のキーワードになって久しい。 「持続的発展文化」を考える上で、国内外の旅から学ぶところは大きいと思う。 そんな思いとともに、私が旅した九州を振り返ってみたい。

2013年 11月

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