里山を歩くと、ときどきちいさな炭焼き小屋に出会います。
かって、炭焼きが盛んだったこの村も、
多くの人たちが山を下りた今、
数えるほどしか炭焼き小屋が残っていません。
ひとり、ふたりと山を下りるその歩調に合わせるかのように
炭焼き小屋も、いろりも、草屋根も姿を消していきました。
昭和40年頃のことです。
森の日当たりを良くするため、
枝を打ち、
つるを切り、
間伐を行い、
薪を割り、
炭を焼き、
燃料として活用し、
草屋根を維持し、
灰や古茅は肥料として大地に還元・・・
連綿と循環していた里山の営みが
すっかり過去のこととなってしまいました。
わずかな残り火を絶やすまい、
とそのちいさな小屋は語りかけてくるようでした。
手入れの行き届いた森を歩くと
愛情をもって山に接している人たちがいるのだな、
と心強く思えます。
山を守るこのちいさな営みが
ひいては、地球温暖化を抑止する上でも、
大きな力になる、ということを
もっと多くの人に知らせたい・・・
ふと見上げた空から
明るい春の光が降り注いできました。